本を読んだ

「コンビニ人間」 感想文   (ネタバレあります)

文藝春秋を買って、芥川賞受賞作、「コンビニ人間」を読みました。 私は芥川賞受賞作を掲載した文藝春秋を買うのがわりと好きです。特に選評を読むのが面白い。当たり前ですが、評価は人それぞれと言うところがあって、良い点悪い点を選者がそれぞれ語ってい…

佐藤優著 「人に強くなる極意」 青春新書

またまたけっこう売れているらしい、佐藤優の本である。ファンなのでとりあえず買って、風呂場本として読了。 書いてあることは、僕としては、そりゃそうだよね、当たり前だよね、そうか、僕だって考え至っていたよ、と言うようなことが多く分かりやすい内容…

「ミレニアム」 ハヤカワ書房 スティーグ・ラーソン著

昨年の夏頃かな、kindleで安売りしていたので1を買い、面白かったので2,3も続けて買ってしまった。 この本は、リスベット・サランデルという、ミステリー史上に残る女性キャラクターを創造したことで末永く顕彰されるだろう。とにかく、いけてます、サラ…

中島義道著 カントの人間学   講談社新書

僕は中島義道氏の文章とは相性が良いようだ。どの本も割合面白く読めてしまう。この本はカントの人となりを生い立ちや、彼と親しかった人たちの証言を元に纏めたもの。 カントが人間関係を積極的には築かない人であって、貧しさに耐え、刻苦勉励し、金銭に対…

宮部みゆき著  クロスファイア  光文社 上下

1998年初版のカッパノベルスである。随分以前に古本で買って長らく積ん読状態であったが、風呂での読書使ってみた。 面白かった。 冷静に考えてみると、ガーディアンという「秘密組織」を使う点と、もう一つ発火させる超能力を使う点で、一歩間違えれば…

本を読んだ  銀河パトロール隊(レンズマンシリーズ 1)

銀河パトロール隊は1930年代に書かれたSFである。僕が子供のころすでにシリーズが出ていて、読みたいな、と思いながら果たせなかった作品。 新訳が出たので、キンドル版で少し安かったので購入し、読了。 スピード感あふれる展開、とにかく壮大なスケー…

NEWS WEEK は商売上手

先週号のNEWS WEEK 日本版は、「韓国自滅外交」という見出しが躍っていて、つい手に取ってしまった。買う時からうまいところを突いてくるな、と思ったのだけれど(いまの日本人の気分のスイートスポットを着いてくると言う意味で)こんなツイートがたまたま…

「寒い国から帰ってきたスパイ」 ジョン ル・カレ著  ハヤカワ文庫

前から読みたかった本だけれど、ハヤカワ文庫の判型が改まって、活字が大きくなり、目の悪い僕にも読みやすくなって漸く手が出た。 時代設定が60年ぐらい前だから、大時代なスパイものなのだが、あまり古さは感じなかった。 冷戦時代の、特に共産主義政府…

俺たちバブル入行組     池井戸 潤著  文春文庫

下町ロケットで直木賞を受賞した作家の以前の作品である。 どんな作風か、試し読みのつもりで古本屋で100円で購入して、暫く積ん読状態であったのを、先週末一気に読了。 一口で言って面白かった。バブル期の就職活動の様子や、銀行の融資の手続き、行内…

「戦争の犬たち」 フレデリック フォーサイス著 角川文庫 読了

フォーサイスの短編がけっこう好きなので、長編の手始めに読み始めた。 すでに書いたように現代とは時代の違いが顕著。ここではフォーサイスの世界観、政治観が明確に出ていて、あるいは出過ぎていて、小説としてはご都合主義に過ぎる、という気がするが、も…

「フェミニズムの時代を生きて」 岩波現代文庫

数ヶ月前に読んで、感想を書きたいと思っていて延び延びになっていた。 僕は中年男性だし、この本の中で上野千鶴子先生が言っている「当事者性」がないわけで、まずその意味でフェミニストではないし、また世間で「女性を尊重する男性」という通俗的な意味で…

「職業としてのAV女優」  幻冬舎新書

よくわからない世界について知識を得られたと言うことで、読んだかいがあったけれど、AVの仕事を肯定的に見る視線、そのビジネス書のような文体に違和感を覚えてしまった。それは僕の偏見なのであろうが。 リスクの一杯ある業界だと言うことは説明しているし…

「それってどうなの主義」 斎藤美奈子著 文春文庫 感想文

だいぶ前に、古本屋で百円で買ったもの。主に九十年代の新聞雑誌に書いた雑文・評論?を集めたもの。という種類の本は、なかなか焦点が定まらずにつまらないと言うことが往々にしてあるわけで、この本もそういうところがないわけではない。 あと、斎藤さんの…

「俳句はかく解しかく味う」 高浜虚子著 岩波文庫

だいぶ前(二ヶ月ぐらい前?)に、ついでに買った本である。俳句はあまり好きではない。どう理解しても、「いや、それはね・・・」と通人が、あるいは半可通がしたり顔で訂正してくるような雰囲気を勝手に感じているからである。 しかし、日本に生まれ育って…

「銃・病原菌・鉄」 読了

漸く、下巻を読み終えた。下巻では、文字の発生についての考察が面白かった。読み終えて思うことの一つは、著者が言いたいことを簡単にまとめることの愚かさである。大変に広い範囲の時間、空間、学問の範囲にわたっての知識を渡り歩くようにして綴られた本…

「超マクロ展望 世界経済の真実」 水野和夫 萱野稔人著 集英社新書

ゴールデンウイークの移動時間と移動先での時間を使って、読了した。エコノミストと若手哲学者との対談本。対談本というところが新書らしいところで、作りが安い感じがしないでもないが、読みやすくテーマも絞られている。 ここでのキーワードは、「交易条件…

「松田聖子論」 小倉千加子著  感想

1989年初版。山口百恵と松田聖子を対比して論じている。山口百恵が、同世代の人間にはよく知られているように、母子家庭に育ち、世間というものに対抗意識を育みながら育ってきたことをその著書「蒼い時」を読み説きながら明らかにしていく。同時に阿木…

「セクシィ・ギャルの大研究」 上野千鶴子著  岩波現代文庫 感想

セクシィ・ギャルの大研究 女の読み方・読まれ方・読ませ方 上野千鶴子著 岩波現代文庫数週間前に買って、枕元に置きながらぼちぼち読んで、やっと読み終えた。元の本は1982年発行のカッパブックス。上野千鶴子としては初の出版であったようで、帯にも、…

富山和彦著 「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」   感想

IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)作者: 冨山和彦,経営共創基盤出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2012/02/17メディア: 新書購入: 5人 クリック: 24回この商品を含むブログ (10件) を見る先週、嵐の日に早く帰って最寄り駅についてほっ…

「性役割の心理」  東清和 小倉千加子著  大日本図書

現代心理学ブックスと名付けられて、1984年に初版が出版されている本。 東教授は年齢から言って小倉千加子先生の先生なのでしょう。三章の内、一,二章を小倉千加子が執筆。本書の著者紹介では1952年生まれだから、この本を書いたときには30歳そこ…

女の人生すごろく  小倉千加子著  ちくま文庫  感想

面白い。面白いので、もう読んでしまった。やはり、読書というのは、面白い順、読みやすい順に読んでしまうな。ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」は、昨年わくわくしながら買ったんだけど、そして読むとすばらしいのだけれど、なぜか催眠作用も抜群で…

「ザ フェミニズム」 感想  ちくま文庫

2週目を読み終えた。なぜ二回も読んだかと言えば、面白かったからだ。上野千鶴子、小倉千加子という2大巨匠(解説の遙洋子の言)の対談を纏めたもので、笑えるところ多数。もちろん面白いというのはそういう部分だけではなく、頭の良い人たちがお互いへの…

「ザ フェミニズム」2週目 読了 その他 本日買った本

「ザ フェミニズム」の通読2回目を終了した。感想を書こうとしたが、長くなり、かつなかなかまとまらず、おまけに土曜日のだらだらおつむはしまりがなく、本日のアップは諦めた。 買い物のついでによった本屋では、ついつい次のような本を買ってしまった。 …

人類進化の700万年   三井誠著   講談社現代新書

しばらく前に書いたけれど、ハードSFの名作と言われる(と言っても読んではいないのだが)「星を継ぐもの」のコミック版を読んで、5万年前にアフリカを旅立った僕たちの祖先という話に大変興味をそそられた。 考古学というか、人類学というか、(正確には…

「インテリジェンス人間論」 佐藤優著  新潮文庫

もう、数年前のことになるが「国家の罠」新潮文庫版を読んで、印象が強烈であったので、以来佐藤本を何冊も続けて読んだ。「自壊する帝国」や鈴木宗男との共著「反省」などなど。(余談であるが国家の罠は、川上弘美の解説も良かった。ここに川上弘美をもっ…

「ダメになる会社」 高橋伸夫著  ちくま新書

巷では、大王製紙のバカボンばくちつぎ込み事件、オリンパスの財テク失敗隠蔽事件などがあり、さらにそれ以外の会社の不祥事も週刊誌などで報道されている。 で、この本、実は1年ぐらい前に読んだのではないかと思う。会社法における機関設計のバリエーショ…

「その死に方は、迷惑です」  本田桂子著 集英社新書 感想

趣味の読書に絞れば小説や、素人向けの哲学入門書、少し仕事よりになれば英語学習書や経営関連のビジネス書(簡単なやつ)を読んでる、と言うことになるわけだけど、実は普通に生活をしていればいろいろな活字に目を通すわけで、新聞読むし、Web記事読むし、…

木田元著「哲学は人生の役に立つのか」 感想文

相変わらず、木田元の本をぼつぼつ読んでいる。新書という大衆的な出版形式でこれだけ沢山著書が出ると言うことは、木田元先生は人気があると言うことだろう。すでに以前の感想で書いたことであるが、哲学者、もしくは大学教授という立場をかさにきて「難し…

「負けた物がみな貰う」 グレアム・グリーン  丸谷才一訳

高名な作者、名作と言われる作品でも、相性の良い悪いと言うことはやはりあるようだ。グレアム・グリーンは僕にとって、今ひとつ掴みにくい作家だ。と言っても、本作以外には短編集を読んだだけなのだけれど、目の付け所のポイントがわかりにくく、作品のバ…

「反哲学入門」 木田元著  新潮文庫

またまた木田元先生の本である。すでに木田先生の本は「反哲学史」を読み蒙を啓かれる思いをしたので、本書を本屋で見かけたときには思わず手が出てしまった。 「反哲学史」より書かれた時代は新しく、著者が大病(胃がんということらしい)を患った後に、イ…