2018-01-01から1年間の記事一覧

「日本の同時代小説」 斎藤美奈子著  岩波新書

「日本の現代小説」という中村光夫の名著が出版されてから五十年、その続編を企図し、現代の文芸批評で、フェミ系と言って良いだろう立場から批評活動を続けている斎藤美奈子の著書である。「日本の現代小説」の後を受けて、その後約五十年の日本の文学、小…

工場  小山田浩子作   新潮文庫   

大変魅力的な作品だ。僕自身、メーカーに勤めるサラリーマンであるので、主人公達が勤める工場ほど巨大な工場に勤めた経験はないが、勤め人としての経験から、ビンビン響く場面・言葉があり、大変面白く読んだ。 語り手は、三人居て、それが明確に示されず、…

音楽  三島由紀夫 作

再び、三島由紀夫作品について。三島熱は、まだ続いている。「音楽」は、三島の主要作品とは捉えられていないようだ。「音楽」とは女性の性的オルガズムの謂いであって、不感症の美しい女性が、精神分析医に治療を受ける過程が分析医の手記の形で小説となっ…

「最低。」 紗倉まな作  感想文

紗倉まなはAV女優としてすでに長いキャリアをもち、活躍しているが、エッセイ、SNSの様々なメディア、yuutubeなどで、積極的に情報発信をしている。そして小説も発表しているので、興味を持った。AV女優であって、作家であってというところについて、…

「サヨナラ 学校化社会」 上野千鶴子  ちくま文庫

小説から少し離れて、久しぶりに上野千鶴子の本を読んだ。彼女の本は、一般向けの対談本などを数冊読んでいる。僕はフェミニズムはよく理解していないが、(上野によれば、男性は当事者性がない、と言うことだから、悩むこともないが、そして、当事者性がな…

美しい星  三島由紀夫作

三島由紀夫のマイブームはさらに続いている。「美しい星」は初読であった。小説を作る方法論から言えば、これはSF的手法を用いた小説と言えるだろう。主人公は、北関東に住む裕福な一家である。一家の主は、旧制の大学を出た後、これという社会的な働きをせ…

盗賊   三島由紀夫作

三島由紀夫マイブームが続いている。今回は、初長編たる「盗賊」。 若い時に一度読んで、その時の印象は間違っていなかったと思うが、今回改めて読んで、三島の彫心鏤骨の文章、綿密な構成、見事な結末に改めて感嘆した。 とは言え、もちろん、わかりやすい…

「青の時代」 三島由紀夫作

三島の未読の長編と言うことで、読んで見た。確か、河野多恵子だったと思うけれど、三島の作品の中で一番立派とどこかで言っていたのではないか。(不確かであるけれど) 戦後、インチキ金融会社を立ち上げ、破綻して自殺した東大生がモデルである。しかし、…

「絹と明察」  三島由紀夫 作  

久しぶりに三島由紀夫の作品を読んだ。 金閣寺、仮面の告白、禁色、鏡子の家、静める滝、潮騒、豊穣の海、愛の乾き、美徳のよろめき、午後の曳航、宴の後、獣の戯れ、などの長編を若い頃読み、幾つかの短編も読んでいるから、親しんでいる作家と言えるだろう…

Band Maid という ガールズバンドについて

メモ的に記しておく。 Band Maid というガールズバンドがあり、半年ほど前から、ファンになって聞き込んでいる。もともとギター好きなので、数年前にギターの演奏を検索していて、彼女たちのヒット作「Thrill」に行き当たり、まず、名前を覚え…