2022-01-01から1年間の記事一覧

「アドルフ」  コンスタン作 大塚幸男訳 岩波文庫

1964年の訳出である。文学入門的な本で、フランス恋愛心理小説の名作として取り上げられる一作である。三島由紀夫もその「文章読本」の中で取り上げている。ちなみにコンスタンはナポレオンと同時代人である。風景描写や、人物描写、主要な人物以外の動きな…

ホモエコノミクス 「利己的人間の思想史」重田園江著 ちくま新書 2022年3月初版 

著者は、明治大学政治経済学部の教授で、ミシェル・フーコーの専門家として重きをなしている方である、らしい。らしいというのは私がアカデミズムの世界について全く疎いからだが、実は重田先生の本は、同じちくま新書のフーコーの入門書が最初であった。フ…

物語 ウクライナの歴史 「ヨーロッパ最後の大国」 黒川祐次著 中公新書

2002年8月初版 2022年4月13版著者は、元外交官であり、ウクライナ大使も務めている。やはり、ウクライナ戦争が始まった事により、急激に買い求められていると思われる本である。私も、戦争がなければ、少なくともこの時期には買わなかっただろう。内容は、ウ…

佐藤優の集中講義  「民族問題」  佐藤優著 文春新書

2014年から2017年に行われた講義について、2017年に第1版が出版され、2022年の4月5日に第3版が発行されている。私が手にしたのは2022年6月である。2022年2月24日にロシアの特別軍事作戦がウクライナに対して開始され、これを書いている…

「辛口サイショーの人生案内 DX」 最相葉月著   ミシマ社

読売新聞で長らく続いている「人生相談」の著者による回答集である。人生相談というものは、三島由紀夫は、誰でも笑って読むものだ、と言っていたし、サルトルは、あらかじめ相談者は、誰に相談するか(どのような答があるのか)を選んで相談するものだと言…