2010-01-01から1年間の記事一覧

七人の侍           黒澤明 監督作品 1954年

七人の侍黒沢 明監督の代表的作品の一つ。アメリカで「荒野の7人」としてリメークされた事でも有名。 戦国時代、野武士集団に荒らされる農民が侍を雇って村を守る話。筋自体もよく知られているのでは、と思う。初めて見たのだけれど、第一印象は、長い。描…

蘇州夜曲 

1940年、と言うから今から70年前の映画である。若き長谷川一夫、山口淑子が主演。山口淑子は李香蘭という中国人として出演していた。 日本が満州を支配していたときの、中国を舞台とした映画である。中国語で話す部分の字幕がなく、ちょっと分からない…

生きる   黒澤明監督作品  1952年

志村喬主演の名高い作品である。市役所の課長が、胃がんであることを知って、自分の人生の意味を問い直し、一時は自殺を考えるほど追い詰められた挙句、市民から陳情のあった公園を作ることに残りの人生をかけ、死んでいく。生きる意味を問うた作品として、…

醜聞    黒沢 明 監督  1949年

1949年制作 黒沢明 監督。三船敏郎が若くて元気の良い絵描き。山口淑子が、美声のクラシック歌手。二人の醜聞を裁判で弁護するのが志村喬。三船敏郎は快活だが、山口淑子はお飾りっぽくて、積極的に行動せず、三船と絡むのかな、と思うとそうでもない。 三流…

チャーリー・ウイルソンズ ウォー       米国映画

トム・ハンクス主演。ジュリア・ロバーツ競演。 遊び人で、これと言って業績を上げていない米国の下院議員がアフガンのソ連侵攻に対して、ソ連を打ち負かすために情熱を燃やし、政府からついに10億ドルの金を引き出してアフガンを援助し、ソ連を撤退させる…

静かなる決闘    黒沢明

静かなる決闘 黒澤明 1949年作品シンプルなプロット。野戦病院でスピロヘータ(梅毒)に感染した青年医師の苦悩を三船敏郎主演で描く。医師は帰国後婚約者に理由を告げず、婚約解消を告げる。 内心の葛藤をついに表すクライマックスの三船の演技はなかな…

勝手にしやがれ    ゴダール

有名な作品。ジャン・ポール・ベルモントの、ちんぴらぶりがすてき。乾いた演出、ニュース・ドキュメンタリー映像のようなカメラワーク。 今、でなくて50年前の日本で見たら、それはそれはインパクトあっただろうな。 映画だからさ、みたいな。パリだから…

大番 完結編  1958年  加東大介主演

大番 完結編 1958年 加東大介主演時代は戦後になっている。兜町に復帰した主人公牛ちゃんは、友人しんどんの経営する喫茶店の2階で細々と証券取り次ぎをはじめる。相場をはって大いに儲けるが、同時に女好きもとどまるところを知らない。 戦前、あこが…

続々大番    1957年 加東大介主演

続々大番 加東大介の主演した彼の代表作のシリーズの第3作。1957年作。加東は1911年生まれだからこのとき加東は46歳ぐらいと言うことになる。前後の作品を見ていないのでつかめないところもあるが、主人公が株で失敗した直後から始まり、田舎に帰…

社長漫遊記    

1963年(昭和38年)東邦作品。シリーズ化された人気作の一つ。アメリカ出張から帰った塗料会社の社長が起こす珍騒動。 森繁は、このとき(撮影時)49歳半ばというところ。あれれ、今の僕より年下だ。三木のり平、加東大介、小林桂樹、フランキー堺と…

剣    三島由紀夫原作の映画

三島由紀夫小説の映画化。大映映画。1964年(昭和39年)大学剣道部を舞台として、太陽と生命、青年と純粋な魂、俗世間と汚濁、といういかにも三島らしいテーマが貫かれている。 主人公である国分(市川雷蔵)と彼と対照的なライバル賀川(川津祐介)の…

ハウルの動く城

会社の飲み会で、様々な年代(男女とも)と話をすると、どうもジブリの映画を一通り見ておくことは、現代日本人の必須科目なのでは?などと思うくらい、皆だいたい見ている。僕は3本しか見ていないので、これから意識的に見てみようかな、と思ったりする。 …

お菓子と麦酒     サマセット・モーム作   感想文

サマセット・モーム作。角川文庫。 1930年、モーム50代後半の作品である。モーム好きの僕としては、気軽に手に入る文庫の長編としては、最後に手に取った作品。 一人称の語り口で、月と6ペンスがそうであるように、書き手の位置付けが最初は分からず…

ポリス・ストーリー   ジャッキー・チェン監督主演     

若きジャッキー・チェンが大活躍する活劇。もう随分古い映画だけど。 ストーリーは単純だし、脚本は甘いが、この映画の場合はそんなことは関係ないわけだ。ジャッキー・チェンの超人的なカンフー演技を楽しむことができればそれでよし。 カーアクションの車…

太陽の帝国    スピルバーグ監督作品を見た。

スピルバーグ 制作 監督作品。原作 J・G・バラード。バラードはSFの巨匠である。もう亡くなってしまったけれど。 彼は少年時代を戦前の上海で過ごしたらしい、と言う事前知識のみで見た。 上海で日本軍に捉えられた英国人少年の体験を描いた作品だ。日本…

ディープ ブルー

美しい海の映像で綴られた、海洋ノンフィクション映画だ。 一番面白かったのは、皇帝ペンギンがミサイルのように水中を飛んで地上、というか氷上に飛び上がる場面。集まって微動だにせずに酷寒に耐え、卵を守る姿。かにや、深海魚の部分は飛ばした。 最後に…

アマルフィ     映画の感想

これは駄作だ。イタリアで録りました、というだけで、中身は薄い。正直がっかりした。シナリオがわるい。2時間ドラマみたいなものだ。はぐれデカ純情派が放送されていたころ、時々香港辺りに行って、ほとんど慰安旅行しているのではというようなのりの番組…

夏休みになった。 映画を見よう。 グラン・ブルー オリジナル版

夏休みになった。平均的日本のメーカーに勤めているので、夏場は1週間を越える連休となる。といってもそのうちの4割ぐらいは、普通の土日なのだけれど。HDD録画機にたまってしまった映画をまとめてこなすとしよう。 グランブルーオリジナル版 フランス人と…

感想文 「メタルギア ソリッド」  伊藤計劃著

「メタルギアソリッド」(以下MGS)というのは、随分長期にわたって売れているゲームであるらしい。僕も名前ぐらいは知っていたけれど、プレイしたことはない。今回この本を読んだのも、伊藤計劃がノベライズしたからなのであって、伊藤計劃の小説世界に…

感想文 「虐殺器官」 その2  ネタバレ注意

伊藤計劃 虐殺器官の続きである。以下、ネタバレになるので、万一これから読もうか、と思っている人がこのテキストを眼にすることが有るとしたら、(って、そんな確率は天文学的に低いとは思いますが)ご注意ください。 虐殺器官とは、主人公に追われる研究…

感想文 「虐殺器官」 伊藤計劃著 2010年7月4日読了 その1

近未来軍事オタクSFドンパチ小説。そんな風に言うこともできるかもしれない。正直のところこの小説は読者を選ぶと思う。宮部みゆきは早川文庫版帯に3度生まれ変わってもこんな小説は書けない、と賛辞を寄せているが、これだけ軍事的な知識が必要とされる小…

感想文 「ためらいの倫理学」 内田 樹 著

僕が内田樹という著者に興味を持ったのは、新聞のインタビュー記事を読んでからと思う。内田先生はは現代の幼稚なエゴが過剰に主張される世相を憂え、あの池田小事件に関する朝日新聞の記事において、父兄が亡くなった教師に哀悼の意を表することもなく学校…