静かなる決闘    黒沢明

静かなる決闘    黒澤明 1949年作品

シンプルなプロット。野戦病院スピロヘータ(梅毒)に感染した青年医師の苦悩を三船敏郎主演で描く。

医師は帰国後婚約者に理由を告げず、婚約解消を告げる。
内心の葛藤をついに表すクライマックスの三船の演技はなかなかの見物。
言葉も演技もストレートである。ストーリーを貫く倫理観もさっぱりとしていて気分がいい。一番好きな場面は、息子の病気を知った父親がいったんは叱責したものの、事情を知って謝る場面。煙草をやり取りする場面もユーモラス。よけいな演出がなくてとてもいいなあ。

そして何より、最後の、息子を聖者と言われた父親の、「病気がなければ、案外俗物になっていたかもしれない」という台詞が利いている。

CATVにて鑑賞。