2020-01-01から1年間の記事一覧

「小松とうさちゃん」 絲山秋子著 河出文庫  感想文

絲山秋子の中編と、二つの短編が収められている文庫本である。 絲山秋子の作品を、本屋で手に入る順に(出版された順番にはあまりこだわらず)読み続けている。この作品集においては、一番長い中編作品「小松とうさちゃん」について書いておきたい。 小松と…

「忘れられたワルツ」 絲山秋子著 河出文庫  感想文

絲山秋子の短編集である。マイブームで絲山秋子を読み続けている。 短編集であるから、それぞれに個性の異なった小説が7つ収められているのであるが、ここでは主に、最期に収められた「神と増田喜十郎」について語りたい。 まず、増田喜十郎という人物造形に…

「離陸」 絲山秋子著 文春文庫

御社のチャラ男で絲山秋子にはまった、すなわち絲山秋子という優れた作家を再発見した私が次に読んだ長編が「離陸」である。 佐藤という、ダム管理などをするキャリア官僚の、ダム管理の現場、大学時代の回想、四日市の家族のこと、パリでの勤務、そこで知り…

「御社のチャラ男」 絲山秋子著  講談社単行本 感想文

優れた会社小説だという評があり、また批評の一つであったか、チャラ男はどこにでもいるという言葉にふと感じるものがあり、この新型コロナ対応のための外出自粛の中、電車に乗って隣の駅の大型書店で購入して読んだ。(いつも寄る駅中の書店にはなかなか並…

1ドルの価値/賢者の贈り物 o・ヘンリー 著  光文社古典新訳文庫

オー・ヘンリーの名前は子供の頃から知っていて、賢者の贈り物、最期の一葉ぐらいは、あらすじを知っているし、賢者の贈り物は高校の英語の教科書に載っていた事を覚えている。しかし、きちんと読んだかなと思い返してみるとあやしいし、そのほかにどんな作…