2012-01-01から1年間の記事一覧

「寒い国から帰ってきたスパイ」 ジョン ル・カレ著  ハヤカワ文庫

前から読みたかった本だけれど、ハヤカワ文庫の判型が改まって、活字が大きくなり、目の悪い僕にも読みやすくなって漸く手が出た。 時代設定が60年ぐらい前だから、大時代なスパイものなのだが、あまり古さは感じなかった。 冷戦時代の、特に共産主義政府…

俺たちバブル入行組     池井戸 潤著  文春文庫

下町ロケットで直木賞を受賞した作家の以前の作品である。 どんな作風か、試し読みのつもりで古本屋で100円で購入して、暫く積ん読状態であったのを、先週末一気に読了。 一口で言って面白かった。バブル期の就職活動の様子や、銀行の融資の手続き、行内…

今朝の朝日新聞に書いてあったこと

といっても、付録のbe の青い方だけど。お金の扱いに関するフリーライターの方の記事に、挿絵があり、キャプションが。 「無限に続く家事に対処するには、頭でなく反射神経で動かなければ。。」 というような文言。 そうだよね、、と深く感じ入ってしまった…

「戦争の犬たち」 フレデリック フォーサイス著 角川文庫 読了

フォーサイスの短編がけっこう好きなので、長編の手始めに読み始めた。 すでに書いたように現代とは時代の違いが顕著。ここではフォーサイスの世界観、政治観が明確に出ていて、あるいは出過ぎていて、小説としてはご都合主義に過ぎる、という気がするが、も…

小倉千加子 「セックス神話解体新書」再読中

性欲が本能ではない、とすれば、何なのか。 と言うあたりを興味津々、再読中。

「フェミニズムの時代を生きて」 岩波現代文庫

数ヶ月前に読んで、感想を書きたいと思っていて延び延びになっていた。 僕は中年男性だし、この本の中で上野千鶴子先生が言っている「当事者性」がないわけで、まずその意味でフェミニストではないし、また世間で「女性を尊重する男性」という通俗的な意味で…

「職業としてのAV女優」  幻冬舎新書

よくわからない世界について知識を得られたと言うことで、読んだかいがあったけれど、AVの仕事を肯定的に見る視線、そのビジネス書のような文体に違和感を覚えてしまった。それは僕の偏見なのであろうが。 リスクの一杯ある業界だと言うことは説明しているし…

小林秀雄の顔

小林秀雄の顔を初めて見たのは中学の頃だったと思うが、もちろん写真でだけれど、白髪の老人で、好々爺然とした風貌がとても印象的であった。当時は大学入試のために読まねばならない本の第一は小林秀雄だった。 後に中年期の小林秀雄の写真を何かの本で見る…

小林秀雄の対談本「人間の建設」読了

面白かった。一番つまらないのは、茂木健一郎の解説だった。間違ったことを書いているとは思わないが、もっとコンパクトに簡明に書けるのに。 さて、この対談本には面白い点が沢山あって、これから小林秀雄を読んで行く上でけっこう読み直すことになるかもし…

小林秀雄の対談本について

昨日買った、岡潔と小林秀雄の対談、「人間の建設」を早速読んでいる。昭和40年の本である。ここで語られていることがほとんど現在に当てはまる、(教育がだめだ、とか科学が理屈に走って、破壊することだけになってしまっているとか)ことに驚く。先見性…

僕にとって原宿は遠かった

昨日のつづき、と言うか補足。 小泉今日子、「原宿百景」において、文章は平明且つ明確で、パンダのananをさらに深めようという気合いの感じられるものなのだけれど、それは個人的な事を妙に糊塗せず語る、と言う点でも、母との関係を客観的に掘り下げた点で…

「原宿百景」を読了

長い時間が掛かった。文章はやはり達者。しかし分量は少なく、また題材も大きく言えば、pandaのananの範囲を出るものではない。あとは原宿を舞台に小泉今日子を巡る人々との対談。それも八十年代、九十年代を回顧する形が多いから、まあ、どちらかと言えば後…

「それってどうなの主義」 斎藤美奈子著 文春文庫 感想文

だいぶ前に、古本屋で百円で買ったもの。主に九十年代の新聞雑誌に書いた雑文・評論?を集めたもの。という種類の本は、なかなか焦点が定まらずにつまらないと言うことが往々にしてあるわけで、この本もそういうところがないわけではない。 あと、斎藤さんの…

「俳句はかく解しかく味う」 高浜虚子著 岩波文庫

だいぶ前(二ヶ月ぐらい前?)に、ついでに買った本である。俳句はあまり好きではない。どう理解しても、「いや、それはね・・・」と通人が、あるいは半可通がしたり顔で訂正してくるような雰囲気を勝手に感じているからである。 しかし、日本に生まれ育って…

「銃・病原菌・鉄」 読了

漸く、下巻を読み終えた。下巻では、文字の発生についての考察が面白かった。読み終えて思うことの一つは、著者が言いたいことを簡単にまとめることの愚かさである。大変に広い範囲の時間、空間、学問の範囲にわたっての知識を渡り歩くようにして綴られた本…

「超マクロ展望 世界経済の真実」 水野和夫 萱野稔人著 集英社新書

ゴールデンウイークの移動時間と移動先での時間を使って、読了した。エコノミストと若手哲学者との対談本。対談本というところが新書らしいところで、作りが安い感じがしないでもないが、読みやすくテーマも絞られている。 ここでのキーワードは、「交易条件…

「松田聖子論」 小倉千加子著  感想

1989年初版。山口百恵と松田聖子を対比して論じている。山口百恵が、同世代の人間にはよく知られているように、母子家庭に育ち、世間というものに対抗意識を育みながら育ってきたことをその著書「蒼い時」を読み説きながら明らかにしていく。同時に阿木…

「セクシィ・ギャルの大研究」 上野千鶴子著  岩波現代文庫 感想

セクシィ・ギャルの大研究 女の読み方・読まれ方・読ませ方 上野千鶴子著 岩波現代文庫数週間前に買って、枕元に置きながらぼちぼち読んで、やっと読み終えた。元の本は1982年発行のカッパブックス。上野千鶴子としては初の出版であったようで、帯にも、…

富山和彦著 「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」   感想

IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)作者: 冨山和彦,経営共創基盤出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2012/02/17メディア: 新書購入: 5人 クリック: 24回この商品を含むブログ (10件) を見る先週、嵐の日に早く帰って最寄り駅についてほっ…

ミッキー・ローク の 「レスラー」を見る。

ナイン・ハーフという映画が昔あって、大変評判になって、そのとき色男の役をやったのがミッキー・ロークだったと、思う。 この映画では、忘れられた俳優ミッキーが、プロレスラーの役を鬼気迫るリアリティで演じている。身体はもう、ぼろぼろだし、いったん…

「性役割の心理」  東清和 小倉千加子著  大日本図書

現代心理学ブックスと名付けられて、1984年に初版が出版されている本。 東教授は年齢から言って小倉千加子先生の先生なのでしょう。三章の内、一,二章を小倉千加子が執筆。本書の著者紹介では1952年生まれだから、この本を書いたときには30歳そこ…

フロイト七つの処世法 女の人生すごろくから

女の人生すごろくについて読んだことをアップしたけれど、その中で、フロイト七つの処世法なるものが紹介されている。 曰く、 1.化学的神経麻痺 要するに酒とかクスリ 2.やせ我慢 修行とか、ヨガとか。 3.昇華 性的衝動を芸術的創作意欲に、とか言うや…

女の人生すごろく  小倉千加子著  ちくま文庫  感想

面白い。面白いので、もう読んでしまった。やはり、読書というのは、面白い順、読みやすい順に読んでしまうな。ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」は、昨年わくわくしながら買ったんだけど、そして読むとすばらしいのだけれど、なぜか催眠作用も抜群で…

「ザ フェミニズム」 感想  ちくま文庫

2週目を読み終えた。なぜ二回も読んだかと言えば、面白かったからだ。上野千鶴子、小倉千加子という2大巨匠(解説の遙洋子の言)の対談を纏めたもので、笑えるところ多数。もちろん面白いというのはそういう部分だけではなく、頭の良い人たちがお互いへの…

「ザ フェミニズム」2週目 読了 その他 本日買った本

「ザ フェミニズム」の通読2回目を終了した。感想を書こうとしたが、長くなり、かつなかなかまとまらず、おまけに土曜日のだらだらおつむはしまりがなく、本日のアップは諦めた。 買い物のついでによった本屋では、ついつい次のような本を買ってしまった。 …

このチャーリー・パーカーのCDはいい

コルトレーンを再び聞き始めたことによって、ジャズに対する興味が呼び覚まされ、手持ちのチャーリー・パーカーのCDに再び手を伸ばしてみたけれど、録音悪くてなんだかつまらなかった、と言う話は前に書いた。なんだか悔しいから、CDを探して買って聞いてみ…

人類進化の700万年   三井誠著   講談社現代新書

しばらく前に書いたけれど、ハードSFの名作と言われる(と言っても読んではいないのだが)「星を継ぐもの」のコミック版を読んで、5万年前にアフリカを旅立った僕たちの祖先という話に大変興味をそそられた。 考古学というか、人類学というか、(正確には…

Harry Potter and the prisoner of Azkaban 読了

英語の勉強の一環として、いわゆる多読をぼちぼちやっているのだけれど、久しぶりに表題の本を読み終えました。一昨日も書いたけれど、今回は途中で飽きてしまったようなところがあって、だいぶ間が空いてしまった。 はじめにハリーにつらく当たるおじさんの…

「インテリジェンス人間論」 佐藤優著  新潮文庫

もう、数年前のことになるが「国家の罠」新潮文庫版を読んで、印象が強烈であったので、以来佐藤本を何冊も続けて読んだ。「自壊する帝国」や鈴木宗男との共著「反省」などなど。(余談であるが国家の罠は、川上弘美の解説も良かった。ここに川上弘美をもっ…