僕にとって原宿は遠かった

昨日のつづき、と言うか補足。
小泉今日子、「原宿百景」において、文章は平明且つ明確で、パンダのananをさらに深めようという気合いの感じられるものなのだけれど、それは個人的な事を妙に糊塗せず語る、と言う点でも、母との関係を客観的に掘り下げた点でも見事だけれど、その種となるものはすべてパンダのananにあった事も事実。この時点で、例えば結婚について語る事だってできたはずだがそういうことはしていない。そのあたりが、僕としてはちょっと食い足りなく感じられる点ではある。
で、原宿。この対談では、ほんとに内輪のサークル内だけの話って言う感じがちょっとしてしまう。原宿に過去、50年を超える人生で多分5回ぐらいしか行ったことのない、ファッションに興味の無い僕には、どうしようもない世界で、だから悔しいわけでもないし、困るわけでもない。つまり、小さい世界の話、って言ったらいけないのかな。
もちろん小泉今日子は例えば和田誠との対談の中で、おっ、と思うような鋭い発言をしていてそれはなかなかなのだけれど、全体としては僕には遠い世界の話で、なによりそれがこまらないというところが、小泉今日子研究においては困ったものなのでありました。

原宿百景 (SWITCH LIBRARY)

原宿百景 (SWITCH LIBRARY)

あ、この表紙の写真はよい。彼女のタレントとしての最大の武器である無敵の笑顔を封印した、等身大の私、っていう感じの覚悟が感じられる写真である。