人類進化の700万年   三井誠著   講談社現代新書

しばらく前に書いたけれど、ハードSFの名作と言われる(と言っても読んではいないのだが)「星を継ぐもの」のコミック版を読んで、5万年前にアフリカを旅立った僕たちの祖先という話に大変興味をそそられた。
考古学というか、人類学というか、(正確にはどういう学問なんでしょうね、人類学というとレビ・ストロースなんか想像しちゃうし)、ネアンデルタール人や、ホモ・サピエンスの進化に猛烈に興味がわいた。そこで、まず概括的に全体像を説明してくれる本を探して、行き当たった本が本書。
2005年発行の本であり、新しいのがポイント。この学問分野は、次々に新しい成果が出てきて、つぎつぎに従来の通説が修正されているらしい。
 書き方も、読売新聞の科学部の記者であるという著者が、読者が素人であることを意識して書いてくれている。また、年代測定方法や、遺伝子のしくみについても入門の入門的説明を加えてくれている。
 全体として、意識的に説明の深さを抑制しているのが感じられるが、それでも入門者にはたっぷりの情報があるし、第一に読む本としては良い本に当たったと思いました。この分野に興味があるならおすすめです。
 で、カバーに著者の写真があるのですが、1971年生まれという三井さんは40そこそこであるはずなのだけれど、風貌がとっても年配の学者風。いや、老けているわけではないのだが、持っている雰囲気が。学校の理科研究室なんかで、にこにこしながら生徒に教えている白髪の生物の先生と言った感じがぴったり。なかなかこういう著者紹介写真には出会えません。次の本も期待しております。

人類進化の700万年 (講談社現代新書)

人類進化の700万年 (講談社現代新書)