ミッキー・ローク の 「レスラー」を見る。

ナイン・ハーフという映画が昔あって、大変評判になって、そのとき色男の役をやったのがミッキー・ロークだったと、思う。
 この映画では、忘れられた俳優ミッキーが、プロレスラーの役を鬼気迫るリアリティで演じている。身体はもう、ぼろぼろだし、いったんなんとか修復しかけた娘との関係も自分の愚かな振る舞いから駄目にしてしまうし、ストリッパーの彼女とは好意を寄せ合いつつもうまくいかないし、一口で言えば引退の仕方も知らなかった愚かな人生の敗残者の物語である。
 しかし、レスリングの場面はなかなか迫力があるし、楽屋、というか控え室での打ち合わせもリアリティがある。ああいうものだよね、という感じ。
 何もかも失った主人公が戻っていくのは、やっぱり、死んでしまうかもしれないけれど、プロレスのリングしか無かった。悲しいが、この孤独感は、誰の人生にも通じるものがあるのでは、と、ふと感じさせるだけのものはある。ストリッパー役の女性はなかなか魅力的。一時的に和解した親と子が、廃墟のようなダンスホールで踊る場面はなかなか良かった。