チャーリー・ウイルソンズ ウォー       米国映画

トム・ハンクス主演。ジュリア・ロバーツ競演。
遊び人で、これと言って業績を上げていない米国の下院議員がアフガンのソ連侵攻に対して、ソ連を打ち負かすために情熱を燃やし、政府からついに10億ドルの金を引き出してアフガンを援助し、ソ連を撤退させるというお話。
 見ているときは面白く感じた。トム・ハンクスは上手だし、ジュリア・ロバーツは所を得た、金持ちで美人で、頭が良くて勝ち気で政治に口を出すマダムを上手に演じているし、ギリシャ人のくせのあるCIA職員も悪くない。
 しかし、見終わって暫くすると、何だか、薄味というか、ぼんやりとした印象が。
 後半、実写フィルムを交えたアフガンの姿などが映されるものの、やや駆け足になった感じであることと、アメリカ人が我が物顔で世界情勢をコントロールしようとしている所、ジュリア演じるマダムは、政治的には何の立場もないのだ、が、鼻につくと言うことかもしれない。彼らは自分の手を汚す訳じゃないものね。ワシントンで酒を飲みながら武器供与について議論するわけだ。
 ふざけるな、という感じ、なきにしもあらず。

 最後に、チャーリーは、アフガンの復興支援をしようとして、わずか100万ドルの予算を求め、拒否される。最後にしくじった、という彼のクレジットが映画のエンドに現れる。
 その後のアフガンの政治情勢、アメリカが如何に苦労しているかを考えれば、その点にこそ、この映画のメッセージはあったのかも知れない。
 また、民主主義などというものはろくでもないものだが、それでもろくでなしの些細な善意も大きな力を持ちうる仕組みではある、と言うことか。
 
 良かれ悪しかれ、米国の政治感覚の片鱗がのぞける映画ではある。
 日本にはこういう感覚はないね。欲しくもないが、政治家には理解して貰いたいものだ。

 繰り返しになるが、映画としては、味が足らない。みんな、ちゃんと演じてるでしょ、っていう演技だがそれ以上ではない。難しいもんだね。演出がありきたりなのかな。パターンに堕しているというか。