醜聞    黒沢 明 監督  1949年

1949年制作 黒沢明 監督。

三船敏郎が若くて元気の良い絵描き。山口淑子が、美声のクラシック歌手。二人の醜聞を裁判で弁護するのが志村喬

三船敏郎は快活だが、山口淑子はお飾りっぽくて、積極的に行動せず、三船と絡むのかな、と思うとそうでもない。
三流出版社の社長、小沢栄太郎が秀逸。というか、あの人は昔からああいう役をやっていたんだな。

 テーマは結局志村喬なんだ。弱くて駄目な、弁護士志村が、最後に己を捨てて、小沢栄太郎の買収を告白する。そこに至る志村喬の演技は彫りが深くて、むしろ三船を圧倒している、というか三船敏郎はそんな役回りという感じがする。
 弱さ、駄目さ加減、また最後に証言をした後でも、彼はやっぱり不幸で卑小な人間に見えるカットが渋かった。

9/5視聴。