「仕事をしたつもり」 海老原嗣生著    感想

 本屋が好きで、僕の小さなリフレッシュポイントなのだけれど、時々ふわふわっと良い気持ちになって、ふわふわっと目に付いた本を買ってしまうときがある。それが当たりと言うこともあるわけだが。
 本書はそんな風に買った本。ぱらぱらっとめくって、よくあるビジネス自己啓発本とは思ったが、パワーポイント馬鹿を批判しているのが我が意を得たりと感じて、つい買ってしまった。
 まあ、言っていることにあまり反対しようとは思わないのだが。
 なにより、驚いたのは、ここまで読者に優しく、簡単に、ある意味のんべんだらりと書いてやらなければだめなのかね。図解と言うより漫画多し。論理がこじつけに感じられる点あり。だが、逆に言えば、この程度のことでもやれば改善できるビジネスマンが多いと言うことでもあるのだろうな。
 僕自身、著者が掲げる論点から逃げ切っているとは言わないし。
 僕が「ほうっ」と思ったのは結論部。「仕事したつもりから抜け出すには」、仕事したつもりを半分にする。残りの半分は「仕事したふフリ」をする、というもの。現実に対し半分は妥協し、半分はフリ(正面切ってなんかやるわけでも無い!!)という、この構えが、今風なのかもしれない。そしてこういう現実認識が実は正論を振りかざす自己啓発より正しいのかもしれない。シニックな時代だな。そもそも当てにしている読者層が若いサラリーマンのようだから、やはり僕が読むべきでは無かったのだけれど。いやはや。