「フーコー」 感想文 ちくま学芸文庫

 著者:リディア・アリックス・フィリンガム
 編訳者:栗原 仁、 慎改康之

 またまたフーコー本だ。今回は欧米で出版されたイラスト(漫画)付き簡略解説本の翻訳と言うところだろうか。
 しかし、侮るなかれ。ある意味で今までで一番わかりやすくて良かったということができる。
 まず著者が総花的に纏めようとしていないところがいい。たぶんアメリカ人の、ハーバードあたりでイギリス文学を学んだ女性研究者と言うことぐらいしか分からない、と訳者言っている。フェミニズムに興味のあるところからちょっとそっちに引っ張った書き方を感じるがそれが返って焦点が絞られて良い感じ。
 加えて、訳者の仕事が気合いが入っている。くだけた調子のみに堕することなく、細部まで神経の行き届いた訳文だ。
 さらに、巻末の主要著作紹介、用語集、ブックガイドはこれからフーコーに取り組んでみようか、と言うものには大変ありがたい。
 全体に、素人が頭が整理するには大変良い本。もちろんこれだけで分かったつもりになってはいけないが。

フーコー (ちくま学芸文庫)

フーコー (ちくま学芸文庫)