「90分でわかるフーコー」 感想

 イギリスの作家ポール・ストラザーンがシリーズで出している90分でわかる哲学者シリーズの一冊である。 実は2度目の読了。フーコーは亡くなって20年近く経つとは言え、現代フランスの人気のある哲学者だから、入門、概説と言った本は結構ある。その中でも僕としてはおすすめの一冊。
 まず内容が本当にコンパクトであること。それでいて全体への見通しはなかなかに良いと思えること、素人が読んでそう思うと言うことは、つまり、かなり読みやすい、といって良いと思います。
 おもしろかったのは作者がイギリス人なせいか、結構はっきりとフーコーの思想に対し異を唱えているところ、たとえば、エピステーメーと言う概念は割り切りすぎ、とかフーコーアメリカにたいし何も言及していない、すなわち20世紀について言及していないに等しい、とか。
 そのあたりが日本人の書くフーコー本と違うところで、先生と仰ぎ見ずに気軽に蹴っ飛ばしていて、新鮮でありました。しかし思想の紹介というものは本来そういうものだろうと思う。その意味でも読む意味があった本。

90分でわかるフーコー

90分でわかるフーコー