「クリスタル殺人事件」 1980年

アガサクリスティもの集中放送の一つ。これはミス・マープルものだった。マープル役はアンジェラ・ラズベリージェシカ伯母さんの事件簿をやった人であり、「ナイル殺人事件」にも、殺されてしまう作家役で出ていた。
 この映画の魅力はなんと言っても、エリザベス・テイラーロック・ハドソントニー・カーティス、キム・ノバックという豪華出演陣だろう。
 ナイル殺人事件や、地中海殺人事件のように美しい風景で魅了する映画ではない。スターで見せる映画。中でもエリザベス・テイラーは、中年太りしている時期とはいえ貫禄十分。一種のオーラを放っている。
 逆に言うと、この映画の魅力はほとんどそこだけ。マープルの推理を細かく追うわけではなく、ポワロもののような手がかりを掴んでいく課程は描写されない。だから、マープルの謎解きも今ひとつ脇役のように見えてしまうのだけれど、僕はなぜか満足。エリザベス・テイラーの演技、謎解きのポイントとなる凍り付いたような表情を見られただけでいい、と言う気になってしまった。まあ中年太りして、化粧もクレオパトラのように濃いのだけれど。
 スターって、そういうものなのかもしれないな。星3つにしておきましょう。