攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society 3D を見る 

なぜか平日が休みという僕としては珍しい日の昼下がり、気が向いて、見てきました。
まず、映画館が新しくて設備が清潔で気分がよかった。何しろすいていたからね。
平日昼過ぎの映画館なんて、駅近くのしゃれたシネコンでもあんなものなんだね。

で、映画の中身はずっと前に作られたものを3D化したもの。実はストーリーにまったく
変化がないのか、少しは変わっているのかということもよく知らずに見に行ったのだが、
結果としては変わりなし。3Dも、アニメと言うものがそもそも平面的なものであるせいか、
あるいは僕はきわめて目が悪い(近視+乱視)だからそのせいもあるのかもしれないが、
ぴんとこないところが多かった。 ちなみにパイレーツオブカリビアンの予告も3D
だったけれど、いまいちだなあ。 3Dはそのうち廃れるんじゃないかな。実は古い技術で
ディズニーランドでもむかし、やってたものね。あのときのほうが感動したな。

で、中身だ。以前自宅でケーブルテレビで見たことのあるもので、頭には入っているが、
あらためて物語がよく理解できました。

SFと言うジャンルは、リアリティに縛られないだけにかえって作者の現実認識があらわに
表現されるものだが、少子化、高齢社会、介護問題、政治家の無能・無責任、児童虐待という
問題設定は現代の日本が抱えた病巣そのものであるし、公安9課のあり方は、
現代社会で有能でありたい僕たちの欲望の具現化そのものだ。
 すばらしいポテンシャルを持ち、チームワークを実は重んじ、経験豊富で清濁併せ呑む
トップがおり、しかも公安と言う権威に守られた秩序の内部の存在であり、かつ
銃をぶっ放す治外法権的な存在様式。 ほとんど仕置き人と同じだもの。そして、
自らの卑小さにくじけそうになりながらも、全力を尽くすと言うストイックな叙情。
そういえばTVアニメ版の
エピソードにはずばり仕置き人風のものがあったっけ。つまり悪人を裏で葬ると言う、
建前としても法の範囲内で仕事をしているはずの公安9課から逸脱したものでちょっとな、と
おもったものだったけれど。
 
 でも舞台設定を含め、その現実認識が飛びぬけて現代的なんだよな。僕の感受性にどんぴしゃであり、僕みたいなやつが実は多いからヒットするわけで。21世紀のリアルはこういうものなんだぜ、っていう感じ。

 とはいえ、改めて言うが3Dの価値は少ないと思った。僕は映画自体のファンなので文句はないが。

  星4つ。